東雲の支配者
「亜夕、強くなれ、強くなるんだ…。」

その言葉を聞いて、陽咲の顔を見上げる。
その瞬間、東の空から突然桃色の光が指す。
すると、陽咲の青い瞳が左側だけエメラルドグリーンに光った。

「雨音…?」

「もう時間だ。亜夕、行くんだ。東雲の向こうへ。ただまっすぐ進むんだ。前だけ見て進むんだ。亜夕が行くまで、私はずっとここから見ているから。安心して。」

そう言って陽咲は私の背中を押す。
私は足を一歩踏み出そうとするも、もう一度振り返り陽咲に抱きつく。

「陽咲、ありがとう。さよなら。あなたに出会えて、本当に良かった。」

陽咲はもう一度私を強く抱きしめた。

「あぁ…。さようなら、亜夕。」

そして陽咲の腕の力は徐々に力が抜けていく。


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