東雲の支配者
小学校の頃、単身赴任の父親が帰って来た日、生まれて初めて父親と二人で出掛けた。
炎天下での釣りは、少しも楽しくなんかなかった。
それを誤魔化すために、私は常に笑顔を作った。
すると父は突然自分がかぶっていた麦わら帽子を無言で私にかぶせた。
私が小さい頃から父は単身赴任で、まともに二人で会話をした事もなかったから、父の事はよく知らない。
けど、私に帽子をかぶせてくれた時、なんとなくだけど、父は母とは違い私を愛してくれるような気がした。
小学校の頃、心の奥底に常に居座っていた孤独という暗闇に、この人なら寄り添ってくれるような気がして嬉しかった。
けれど父は年に数回しか帰省しないため、二人で出掛けたのはそれが最初で最後。
それ以来私はなぜか父からもらった麦わら帽子を毎日かぶっている。
特に愛着があるわけではない。
ただなんとなくだ。
炎天下での釣りは、少しも楽しくなんかなかった。
それを誤魔化すために、私は常に笑顔を作った。
すると父は突然自分がかぶっていた麦わら帽子を無言で私にかぶせた。
私が小さい頃から父は単身赴任で、まともに二人で会話をした事もなかったから、父の事はよく知らない。
けど、私に帽子をかぶせてくれた時、なんとなくだけど、父は母とは違い私を愛してくれるような気がした。
小学校の頃、心の奥底に常に居座っていた孤独という暗闇に、この人なら寄り添ってくれるような気がして嬉しかった。
けれど父は年に数回しか帰省しないため、二人で出掛けたのはそれが最初で最後。
それ以来私はなぜか父からもらった麦わら帽子を毎日かぶっている。
特に愛着があるわけではない。
ただなんとなくだ。