わたしの心をあなたにあげる
──拓哉side──
「ちょっ!優衣!」
祐希は優衣を追いかけようとしたけど僕は祐希を止めた。
「んだよ。離せよ拓哉!」
相当イライラしてんな。
「……今祐希が行っても話がややこしくなるだけだよ。僕が行く」
こうやって言う僕はずるいと思う。
優しくしたら優衣の心は少しでも僕に傾くんじゃないかなとか考えてしまうんだ。
そんなわけないのにね。
優衣は祐希が女の人と歩いているところを見たからあんな感情的になったんだ。
あれが僕だったら「拓哉の彼女?」とか聞いてくるはずだ。
そうこうしてるうちに優衣のいるところに着いた。