杏子の墓(ラジオドラマ)
杏子の父
ゆっくりと歩き出す音。
(宮本)「私のかってな決めつけじゃないわ。
彼女が入院した時お父様から若林君の居所
分かりませんか?連絡つきませんかと訊ねられたの。
あなたの実家にも連絡して秋口に海外へ飛び出したきり
全く連絡がつきませんとのことだったわ。ねえ児玉君?」
(児玉)「ほうよ。ほんまじゃのー。会いたがっとったんじゃのー」
(宮本)「そうよ。ほんとに会いたがっていたのよ」
(若林)「分かった。どうも俺が悪かったような気がしてきた。
それで、なにかな?杏子は何をいおうとしたのだろうか?」
(宮本)「若林君、あなたってほんとに鈍感ね。言うんじゃなくて、
言って欲しかったのよ。たった一言」
(若林)「ひとこと?」
(宮本)「そうよ。好きだって」
(若林)「そんなこと。(おどけて)いくらだって言えるよ。
好きだ。好きだ。好きだ。ほら?」
(宮本)「そうじゃなくて。心を込めて。一言でいいのよ」
(若林)「よくわからないなあ」
(宮本)「だから男は鈍感って言うのよ」
(宮本)「私のかってな決めつけじゃないわ。
彼女が入院した時お父様から若林君の居所
分かりませんか?連絡つきませんかと訊ねられたの。
あなたの実家にも連絡して秋口に海外へ飛び出したきり
全く連絡がつきませんとのことだったわ。ねえ児玉君?」
(児玉)「ほうよ。ほんまじゃのー。会いたがっとったんじゃのー」
(宮本)「そうよ。ほんとに会いたがっていたのよ」
(若林)「分かった。どうも俺が悪かったような気がしてきた。
それで、なにかな?杏子は何をいおうとしたのだろうか?」
(宮本)「若林君、あなたってほんとに鈍感ね。言うんじゃなくて、
言って欲しかったのよ。たった一言」
(若林)「ひとこと?」
(宮本)「そうよ。好きだって」
(若林)「そんなこと。(おどけて)いくらだって言えるよ。
好きだ。好きだ。好きだ。ほら?」
(宮本)「そうじゃなくて。心を込めて。一言でいいのよ」
(若林)「よくわからないなあ」
(宮本)「だから男は鈍感って言うのよ」