杏子の墓(ラジオドラマ)
(杏子のN)「痛い痛い。夜中も眠れません。体中が痛くてどうしようも
ありません。今若林さんはどのあたりを旅してるんですか?お便りください。
3年間は長すぎます。約束しましたね、お便り待ってます」

ここから心臓の鼓動が不気味にリズミカルに響いてくる。
衝撃音が一定の間隔を置いて徐々に大きくなりながら入る。

(杏子のN)「痛い痛いほんとに痛い。体中の骨が酸に侵されているみたいです。
父も母も涙を一杯ためて見守ってくれています。私はいつも必死で笑顔を作って
きました。もうこの痛みには耐えられません。父母が帰ると私は思い切り叫びます。

『死にたい!殺して!早く殺してーっ!』」

心臓の鼓動と衝撃音がリズミカルに流れている。

(杏子のN)「とげの毒が体中を回っています。生きる命の力が負けそうです。
若林さんの力を信じています。時々ふと我に帰って痛みが全くない時があります。
(狂おしく)必死で手紙を書きましょう!私が愛した人は若林治君!大好き!

私の先生なんですよ。両手で私の手を握り締めて、がんばれ杏子!お前は僕の妻だ!
結婚しよう!かっこいい若林君。賛成の方手を挙げてください。学級委員の若林君
大好きです!私をお嫁さんにしてください」
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