兄妹芸人(仮)
「あたしや今野くんが冷静に人の空気とか動きとか読むのは、あたしたちの性格がそういうもんだから。
あんたがこんな性格になろうとしたって似合わないから無意味。
あんたは、あたしが難しい顔して悩んだり怒ったりしてる時に横でバカみたいに笑ってれば、それでいいよ。」
と、そこまで言って言葉を切れば、周りの面々は呆けたようにあたしを見ていた。
そしてその顔は、だんだんとにまにま気持ち悪い笑顔に変わっていく。
当の慎太郎といえば、なぜかその眼の端に多くの水分を蓄え、こらえるようにあたしを見ている。
「なんですか?なんか文句でもあります?」
「いえいえ。」
「別にー、な?」
「うん。やっぱり明里ちゃんはおっとこまえだー」
「なんでそうなるんです……」
「明里!!」
「なんだようるさいな。」
「俺、がんばるから!
一般家庭のお兄ちゃんとはちょっと違うかもしれないけど、明里のお兄ちゃんとしてずっと隣で笑ってる!ずっと!」
……うるさいし恥ずかしいけど、きれいにきれいな笑顔だし、まぁ許してやるか。