兄妹芸人(仮)


「ケンカしたの?」


ご飯を食べながらそんなことを聞いてくるお母さんに、首を横に振って答える。



「いや、別に。」

「違うよ明里がわからずやだからケンカになるんだろ!」



いやだから、あたしはケンカしてる気なんて一切ないから。


慎太郎が1人で騒いでるだけだ。



「なにがあったの?明里がわからずやなんて珍しい。」


「だって、こいつがお笑いやろうとかいうから。」


「あら、なにその楽しそうなの。明里がやるの?」


おっとここで言うのは間違えたか。
お母さんがあっち側の人間だったなんて。



「だよね?お母さんも面白そうって思うよね?明里と俺でやるんだ」



やるなんて一言も言ってないよ。


水を得た魚のように、キラキラと笑顔を輝かせる兄。

やばい。これは非常によろしくない流れだ。


こんなときは逃亡するに限る。



「ごちそーさま。」







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