兄妹芸人(仮)
いつもと違う帰り道を、いつもよりのんびりと歩いて来たところで、たどり着く場所はいつもと同じだ。
ただ、いつも通りな家の小さな門の前には、いつもはない人影が二つ。
しかも、その人影は少し離れた場所にいるあたしにもはっきり聞こえるくらいの大声で話している。
あたしの耳に届いた声は、先ほどまで教室で聞いていた二種類の声。
それが交互に罵り合っているから何とも近所迷惑な話だ。
「二人ともうるさい。邪魔。」
近づいてきたあたしに駆け寄るポンコツ1号と2号をよけて、家の中に避難することに成功した。
「あら、おかえりなさい。お兄ちゃんは?」
「ただいま。外にいるよ。あと、先輩が一人ついてきちゃったんだけど、夕飯いっしょでもいい?」
「それは問題ないけど…今野くん?橋本くん?」
「別の人。二階堂先輩っつーの。」
「あらそう。で、なんで二人は入ってこないの?」
「さぁ?あたし着替えてくるわ。」
一向に入ってくる気配のないポンコツたちは放置だ。
どうせまたくだらない言い合いでもしてんだろ。
部屋着に着替えてリビングへ行くと、なぜかフローリングに正座した二人がいた。