兄妹芸人(仮)
しらす
その日はもう慎太郎とは口きかない宣言をし、メンタルへの攻撃を試みた。
慎太郎はこういった繊細なメンタル面が激弱だから効果は抜群のはずだ。
明日学校に行って、慎太郎の友だちに言えばなんとかしてくれるだろ。
慎太郎のポンコツさは周知の事実だからな。
一個下のあたしの意見もよく聞いてくれるし、ありがたい。
ーーー
「…と言うことなので、刺身だかしらすだか知らないけどそちらさん達でなんとかしてくださいね?」
どうせポンコツをお笑いに誘ったのはお前だろ、田村くん。
翌日、奴のクラス2-2をわざわざ訪れポンコツの回収を願い出た。
このクラスに来るといつも囲まれるからなかなか来たくない場所なんだが、今回は仕方あるまい。
「え、古川兄妹の漫才とか見てみたい!」
「絶対に人気出るよね!美形コンビだし!」
余計なことを言うな、考えるな。
あたしたち兄妹(認めたくない)は所謂美形らしい。
自分の顔が大好きとか、そういったナルシスト発言は吐き気を催すが、周りがあまりに言うもんだからもう否定もしなくなった。
小さい頃はもてはやされて調子に乗ったこともあったが、今はもう身の程をわきまえている。
「じゃあやっぱり明里が俺の相方に決定だな!」
一部始終を見ていたポンコツがここだとばかりに声をあげた。
「コンビ名は“しらす”だね!」
なんだその生臭いコンビ名は。