兄妹芸人(仮)

そして迎えた土曜日。


いっぱい練習してきたあたしたちに対して、なんの恨みがあるのか、神様は試練を与えてくださいましたよ。



どうしてこうも問題が起きるのか。


あたしのせい?
それともこのポンコツがトラブルを呼び起こす体質だったりするの?





『とっても体に響く演舞でしたねー!!こう、心臓が震えるというか、なんかすごくゾワゾワしました!』


『お前コメント下手すぎるだろ。ゾワゾワってなんだよ、もっといい表現あるだろ』


『うーん…ざわざわ?』


『お前のコメント聞いてお客さんがざわざわしてるわ』


『うまい!さすが明里さん!』


『ウザい。ちょっと黙れポンコツ。…いやぁすごく力強くて心に響く演舞でした!この全身で音を感じる感覚がとっても気持ちよかったです!』


『そう!それを言いたかったの!』


『黙れって言っただろ。では、保存会のみなさん、ありがとうございましたー!!』


『ありがとうございましたー!!』






…ご覧の通り、どういうわけかステージ上で進行役を任されたあたしと慎太郎。



事の始まりはほんの数十分前にさかのぼる。





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