兄妹芸人(仮)
仕方なく足から力を抜くと、よほど強い力で引っ張っていたのか、勢いよくステージへと転がり込んだあたしと慎太郎。
ステージ上の太鼓保存会の人たちもお客さんも、急な展開に完全にポカーンとしている。
…このやろう。
もうこんな無様な姿お客さんに見られたなら、あとは何してもこれ以上に悪くなることはないだろう!
こうなったら開き直ってやる!
「痛いだろうが馬鹿。早く立て」
「え、明里ちゃ…」
「はいみなさん!はじめましての人もそうでない人もこんにちは!わたしたち、少しフライングで登場となりました、ちりめんじゃこといいまーす!」
「え、あの、えっと…」
「いやぁ、大変お見苦しい所をお見せしてしまいましてどうもすみませんでした。今日はここから、わたしたちちりめんじゃこがステージMCを務めさせていただきます!」
なかなか立ち上がらない慎太郎を引きずって、ステージ中央へと向かう。
「シャキッとしろポンコツ兄貴。どこまで引きずられれば気が済むんだ。このまま進めるぞ。…はい、お兄さん。太鼓保存会の演舞の感想は?」
そして、先ほどの太鼓保存会についてのグダグダな会話へと続いたのでした。