兄妹芸人(仮)

「あ、明里ちゃん…痛いっす」


「痛いように殴ったからな」


「でもそんな明里もかわいい!もう本当に好き!」


「ね?みなさん見ました?このポンコツ、もうなんの治療もしょうがないレベルのポンコツなんですよ」



顔を近づけてくる慎太郎の顔面を満面の笑顔で掴んで、力づくで遠くへ離すと会場から笑いが起きた。




「ほら、あたしの紹介してくれないんですかお兄さん?」


「あ、はい!この、少しツンデレが過ぎる美少女は、あ痛い!」


「ツンデレてもないし美少女でもない」


「…ツンデレで無自覚な美少女は、痛!もう明里邪魔しないの!この少々暴力が過ぎる子は、俺の可愛い可愛い妹です!最近は頻繁にデレを見せてくれるので、とっても嬉しいです!」



途中でツッコミと言う名のチョップをくれたが、めげずに話し切った慎太郎。


誰がツンデレだ誰が。

そしてデレた覚えはない。



「そんな兄妹二人でなんやかんやとちりめんじゃことして活動してます。

私たちのこと、見たことある人ってどの位いらっしゃいます?」



会場に投げかければ、元気良く上がった手が半分くらい。

思っていたより多い。


こちらにブンブン手を振るお姉様方、笑顔で呼びかけてくるクラスメイト、今野君と橋下君、二階堂先輩は何か食べながらニコニコしてる、そして鼻を押さえてキャーキャー言ってる由紀子さん。

最後の人は見なかったことにしておこう。



「わー!みんな来てくれたんだねー!ありがとー!あ、りくー!ゆうきー!」




< 152 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop