兄妹芸人(仮)
「個人名呼びかけんなよ馬鹿」
「あー、ついつい。ごめんねー二人ともー!あ、二階堂先輩ー!」
「お願いだから学習してよ馬鹿」
あーあーと頭を抱えると、会場は笑顔になる。いや、最初から割と笑顔だったけど。
みんな優しいなぁ…
「え、なに今の!明里、どうしたの?!」
「は?むしろお前がどうした」
「なんか、すごいいい笑顔だった!胸キュンした!」
「…そんなことを言うために時間を割いたんだと思うと悲しくなるわ」
「だってときめいたよ。ねぇみなさん?」
会場にふった慎太郎に、会場のみなさんはうんうんと頷く。
なぜだ。解せぬ。
「あ、言っておきますけど、明里は俺のなんで、野郎どもは惚れても諦めてくださいね、うわぁ痛い!痛いよ明里さん!」
「お前な、お客様に野郎どもとはどういうことだ。失礼にも程があるだろ。ねぇ、……お兄様方?」
ちょっとうまい表現が見当たらなかったごめん。
まぁ、盛り上がってるし、別にいいか。
「おっさんもいるよ!!」
「そこはスルーしていいだろ馬鹿!おっさんとか言うな!オジサマだろ!」
それもなんか違うと思うよ!と言った慎太郎には、もれなくパンチをお見舞いしておいた。