兄妹芸人(仮)

ネコさんはこのポンコツには何をやっても埒が明かないことにようやく気付いたのか、チョイチョイと手招きをしてポンコツを呼んだ。もう直接喋ることにしたようだ。

なになにー?とネコさんに寄っていく慎太郎。そして、あろうことかネコさんの大きなおめ目に耳を寄せた。身長低めの3頭身なネコさんの中の人の顔は確かにネコさんのおめ目付近にある。気持ちは分かる。



「気持ちは分かるけどいろいろずれてるよ慎太郎。」


「おっとうっかり!」



なんとも古いうっかりポーズをとったポンコツのことは見ないふりをした。全部構っていたら話が進まない。



「明里、ちゃんと『八兵衛か!』ってツッコんでくれないと!」

「うるせぇ早く話すませろ。」

「…ネコさん。明里ちゃんの機嫌が急降下だよ…」

「お前のせいだよ。」


冷たい視線に気づいたようで、再びネコさんに話しかけに行くポンコツ。
その場所はやはり大きなおめ目。


「…だからずれてるって言って……」

「これはうっかり!」


まだあきらめてないのか、それともただのバカなのか…



「八兵衛かぁぁぁ!!!」




それはとても綺麗な回し蹴りだったとのちに観客は語った。







< 157 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop