兄妹芸人(仮)
「天然ボケは馬鹿じゃないから天然ボケって言われてるんでしょうが。」
「お兄ちゃんにはそこの違いがわかりません!」
「それはお前が天然ボケだからだよ…」
「納得できない!」
「ネタ中にこんな話をし出すあんたに納得いかないわ。後にしなさい。」
「お家で明里ちゃんがちゃんと話を聞いてくれるのなら後でもいいよ!」
「……みなさんすいませんねー本当に。前に学校の方で見てくださった方に聞かれたんですけど、普段家にいるときもこんな感じなんですよ。ポンコツはキャラではなく、本物のポンコツです。」
「明里ちゃんは家ではちょっと違うんだよね!」
「そうか?」
「家だともっと甘えたに、」「なりません。」
「もっとお兄ちゃんっ子に、」「なりません。」
「もっとラブラブに、」「なりません。」
「なってほしいです。」「断る。」
段々近づいてくるのをぜひともやめてほしい。ネタ合わせの時はこんなに近くなかっただろうが。
客席からきゃーきゃー聞こえてくるのは空耳だろうか。
「こんなツンツンな明里ちゃんですが、ネタに関することだけはお兄ちゃんを頼ってくれるんですよ!ステージ前なんて震えちゃって可愛いのなんのって!それが分かった日にはもうネタやめるとか考えられないっすよね!」
「はぁ?!お前そんな理由でお笑い続けたいとか言ってたのかよ!」
「明里ちゃんの超貴重なデレを逃すお兄ちゃんじゃないですよ!」
「気持ち悪い。」
「明里に関することだったら誰にも負けない自信があるよ。」
無駄にイケボで喋りやがって。いい声の無駄遣いだろ。
ただでさえ近かった距離を一気に詰められた。なんでステージ上でポンコツに見つめられなきゃいけないのさ。
「これはあれか。噂のあごクイか。
妹にやって何が楽しいんだ彼女作ってそれにやれ。」
オーディエンスのみなさん落ち着いて。明里さん黄色い悲鳴より笑い声が聞きたいの。
「明里がいるから彼女なんていらないよ。」
「変態シスコンが勝手に触んな気持ち悪い近すぎんだよ離れろやボケ。」
「今日もツンツンが冴えわたってるね!!辛辣!!」