兄妹芸人(仮)

きゃーともぎゃーともうおーともとれる悲鳴を聞きつつ、顔がにやける慎太郎を引きずりステージ裏にはけた。


ネコさんはもう知らん。
後は勝手にやれや。


「明里ちゃんのデレ破壊力抜群でお兄ちゃん倒れそう。」


「真顔でなに言ってんだポンコツ。」



ステージ裏では実行委員のみなさんがニヤニヤして待ち構えていた。

仕事しろよ大人たちよ。


ステージでは、ネコさんとキャラクターショーのおねーさんがやり取りをしているようで、このまま着ぐるみ部隊が出動するらしかった。



「今日2人を呼んでよかったよ。こんなに盛り上がるとは。」


「今度お好み焼きおごってくださいね。」


実行委員長であるお好み焼き屋の福田さんに言うと、いいよーと軽い返事。

それでいいのか店長よ。




「あ、ネコさんの帰還。」


「あれ?キャラクターショー出ないんすかネコさん?」


ステージ裏にバタバタと入ってきたのはご当地キャラであるネコさんだ。

てっきりそのままショーに出るもんだと思っていたが違ったらしい。



「君らのせいで死ぬかと思った!」


「あれ、ネコさんは喋れない設定でしょうが。喋ったらあかんですよ。」


「裏だからいいの!!」


そう叫んでネコさん頭部をバコッと外したネコさん。


「きゃー子どもたちの夢を壊さないでー」

「明里、棒読みって言うんだよそれ!」

「知ってるわ。知っててやってるわ。」



ネコさんの中の人は大学生くらいのお兄さん。頭にタオルを巻いて汗だくだ。

10月と言えど今日は見事な快晴だし、着ぐるみの中は相当蒸されてるんだろう。



「マジでオレの扱い雑過ぎる泣ける。これ着て前転とかマジで拷問かよ。てか前転出来たオレすごくない?褒められるべき働きだよねマジで!」


「マジマジうるさいんであなたの名前はマジーさんでいいですね。」



「よくねーわ!!」






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