兄妹芸人(仮)

「俺は、明里と、やりたかったけど、田村が、刺身で頑張ろうって、言ってくれたから、だから…」


おいおい。
何涙ぐんでんだよ。
お願いだからこんなとこで泣くとかやめろよ?



「う、う、うんぅー!」

うわーんを言われる前に口を塞ぐ。

そのまま顔を掴み教室から連れ出す。


「明里?もう、授業始まっちゃうよ?」


「だからお前のクラスにお前をお届けすんだろうが。

てかな、お前、簡単に泣いたりしてんなよ。男だろ。」



「だって、明里と、やりたかったんだもん。」



「もんとかも言うな。可愛くない。」



「クラスのみんなは可愛いって言ってくれたよ?」



「お前それ遊ばれてんだよ。というか可愛いって言われて喜んでんじゃねーよ。おら、ついたぞ。」




「明里、本当に、一緒にやってくれないんだな?」



「はぁ…ネタ見てアドバイスとかはしてやるから。だからいちいち泣くな。」




全くこいつは甘ちゃんなんだから。


だからクラスのみんなにも可愛いだなんだ言われんだよ。


「あー明里ちゃん。慎太郎連れてきてくれたの?」


「今野くん。こいつ引き取ってください。」


「うん。ありがとう。

明里ちゃん説得するまで帰ってこないって言ってたからそろそろ迎えに行こうと思ってたんだよね。」


「いつもいつもご迷惑をおかけします。」


「いいえいいえ。明里ちゃんに会えるの嬉しいから逆にありがとうみたいな。」


今野くんは天然にタラシだ。

本気で言ってるとは思えないからいつも適当に流してるが。



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