兄妹芸人(仮)
「明里の嘘つき。ネタ見てくれるって言ったのに。」
それは言ったさ。
「でもそんなに早くできると思わないじゃん。方向性も違うみたいだし。」
家のソファに座る慎太郎と田村くんを交互に見る。
あたしの隣には今野くんだ。
「それなんだけどさ、俺と田村だけだとダメだけど、ゆうきが入ればなんとかなると思うんだ。」
「トリオってこと?」
「そう。俺、田村、ゆうきの三人で刺身三種盛りっていう名前で行こうと思う。」
なんだその生臭い名前は。
「今野くん。嫌なら嫌って言っていいんだよ?」
どうせこいつらのお願い光線に捕まったんだろう。
優しい人はこういう時可哀想だよな。
「うーんまぁでも大変そうだけど、面白そうだし。」
ほんわーっと笑う今野くん。
この人はしっかりしてるけどおっとりさんだからな。
「な、ゆうきと田村がボケで俺がツッコミでやんだよ!」
「ごめん。何も聞こえなかった。」
「だから、2人がボケ、俺がツッコ…」
「ごめんワンモアプリーズ。」
「俺がツッ…」
「お前は自分と向き合うところから始めような。」
お前がツッコミだなんて。
寝言でも言っちゃいけねぇよ。