兄妹芸人(仮)
「で、どうよ、出来は?」
幸せそうな顔(鼻にはティッシュ)で仰向けになるミーハー星人はスルーしてチラシに目を向ける。
食道に血が流れても知らんぞ。
「バッチリだよ!これで集客も完璧だね!」
先ほどから言っているチラシとは、まぁご察ししていただいてるだろうが、集客のためのビラというもので。
書かれている内容は、
『今年の文化祭に、あの古川兄妹コンビちりめんじゃこ登場!
爽やか甚平とイケメンホストによる爆笑お笑いライブ!この2人が並んで見れるなんてここでしかない大サービス!シャッターチャンスもあるよ!
会場にくればクラスの模擬店のサービス券ももらえちゃう!もしかしたらあの爽やか甚平とイケメンホストを独り占めに…?!
あなたの一票、私たちに、くれますか…?』
「なにこれ?」
「へ?宣伝チラシでしょ?」
「文章、こんなんだったっけ…?」
「あ、それね、明里の文章に俺なりにちょっと付け加えてみたの!どうよ?見にいってみたくなるチラシになってる?」
あぁ、そうか。
また、相談なしに勝手に変更した訳か。
確かに興味惹かれる文章だよ。
行ってみようかなって思うよ。
でもさ、
「こんな文章書けるなら、最初からあたしと一緒に考えてよね…」
小さな呟きはこのポンコツには届かなかったらしい。
「あっ、やっぱり、怒った?よね…?勝手に変えちゃってごめん。でも俺も…」
「変えるなとは言ってない。お前が考えちゃダメとも言ってない。あたしが全部やろうとも思ってないし、あんたの助けなんかいらないとも思ってない。
あたしに遠慮して、後から黙って勝手に変えられるくらいなら、最初から口出ししてほしい。一緒に考えてほしい。」
「え、明里…?」
「こんなこと言わすな。あたしたちコンビだろ馬鹿。あと、変わったことあんならちゃんと相談なり報告なりしろ馬鹿。」