兄妹芸人(仮)

「明里、ごめん…今度からちゃんと言うから、だから、そんな顔しないで…。」



そんな顔って、なんだよ。


「お前こそ、泣きそうな顔してんぞ。どうした誰かにいじめられたか。」


「いやいや明里ちゃん以外で俺のこといじめる人いないからね。」


「そうかそれはよかったな。」



みーんなポンコツには優しいからな。

優しい目で見守ってるからな。



「あたしとコンビ組みたいって言ったのはお前だろ。」



今さらいじめるからイヤだとか言っても知らないぞ。



「あたしもこれからはお前と同じ目標持って頑張る努力はするから、お前もなんでもあたしに言え。一緒に考えるから。」



「…うん!一緒にがんばる!」




ガハァっ!



兄貴の輝く笑顔の直後、隣でなにか赤い液体が噴き出した。


…ような気がしたが、いやきっときのせいよ明里。





…なにも見えてないなにも見えてない。


今のこのシリアスでちょっと兄妹の絆?信頼?を深めてる場面で、鼻血なんてそんな…




「明里!ティッシュ!」


…バコっ!



「痛いっ!これ以上鼻血でたらどーすんの!」


「うっせぇ。出血多量で倒れろ口を開くな。」


「明里。友だちにそんなこと言ったらいけません!ごめんね?えっと、由紀子ちゃん?」



ガフっ!



あーあーやっちまった。


倒れゆく故友人Y子さんの口はそれはそれはだらしなく緩んでいたのを私は見た。



「死んだか。」

「こ、これが萌え死ぬということか…」



はいはい。
理解できて良かったですね。









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