兄妹芸人(仮)
慎太郎の前に顔を赤くした女子高生2人組。
うちの学校ではない。
「古川先輩、ですよね?あの、あたしたち、北高なんですけど、先輩の話、よく聞いてます!
今度、文化祭でお笑いやるってことも聞きました!あたしたち、応援してます!」
おーおーおー。
慎太郎ってそんな有名なのか。
北高ってうちの学校から結構遠いよな?
ファンクラブとかあったりして…
明日由紀子に聞いてみるか。
「おい、なんか返事してやれよ。」
「だって、こんなこと初めてだし…どうすればいいの?」
「そんなんいつも通りに愛想振りまけばいいだろ!」
こそこそと交わす会話およそ1秒。
「う、うん!ありがとう!」
戸惑いながらだがいつもの人のいい笑顔で答える慎太郎。
北高生の顔は赤い。が、笑顔だ。
きゃーっ!と店から出て行ってしまい、残されたあたしたちは顔を見合わせキョトンだ。
「お前、すげーな。」
「なんか、あーいうの恥ずかしいね…」
あら、予想外なリアクション。
もっと「うれしいね!」とか「票入れてくれるかな!」とか、とにかくはしゃぐと思ったのに。
「北高なのに俺のこと知ってるとか、なんでだろう…ビックリした。」
ぽけーっと店の入り口を眺める慎太郎。
よほど衝撃だったのか。
「これからは慣れていこうな。せっかく応援してくれるって言うんだから。知らない子に話しかけられたら、とりあえず笑顔を作って。そんで、ありがとう。これからも応援よろしく。これだけ言っとけばオッケーだ。」
慎太郎の顔の良さを使わないなんてもったいないからな。