兄妹芸人(仮)
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「見にいくからな!滑んなよ!!」
次の日
文化祭特有の浮かれモード全開な学校に登校すると、あちこちから同じような言葉を投げかけられる。
それに笑顔の「ありがとう!応援よろしくね!」を撒き散らす慎太郎の横、
「ちっ…話しかけんじゃねーよマジで滑んなとかそれなんのフラグだよただのプレッシャーになってることに気付かないとかこいつアホなのか……」
ぶつぶつぶつぶつ
相手を睨み殺せるんじゃないかというくらいギラついた眼で足元を見続ける。
なぜ足元かと言うと、慎太郎に頭を押さえつけられているからだ。
「明里、もう緊張治まった?」
「まだまだ。全然。無理。やだ。だめ。やっぱ出来ない。やめる。」
慎太郎に頭を押さえつけられるという人生ワースト10に入るであろう屈辱。
だが、慎太郎に頭を押さえつけられないといられない状態に陥っている自分は確実に人生ワースト5に入る失態だ。
「昨日言ったじゃん?今日は楽しいステージにするって。」
それはなんだ、つまりどういうことだ。
そんなんでいいのかって言いたいのか。
情けねーなお前って言いたいのか。
そんなこたぁあたしが1番よくわかってるわ。