兄妹芸人(仮)

「今は、まだダメだけど、絶対時間までに落ち着かせるから、大丈夫だから。

お前に迷惑はかけない。」



あたしたちの出番は午後1番。

よりにもよって1番客足が伸びる時間帯。

だけど、まだ時間はある。

緊張を解すには十分な時間がある。



大丈夫、大丈夫。




「いつも強気な明里ちゃんがそんなヨワヨワ発言なんて。珍しいこともあるんだねぇ。」


「…少し黙ろうか。」


「うん。ごめん。真顔で殴らないで。慎太郎。」


「いくらゆうきでも、今はおちょくるのやめて。明里と少し話してくるから、先教室行っててイイよ。」



今野くんがあたしの緊張を解すために言ってくれてるのはわかってる。


でも、その戯れに乗っかれないほど今のあたしは不安定だ。



慎太郎に促され、校舎の裏、文化祭の騒がしさが届かない所へと連れてこられた。



「明里、よく聞いて。」





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