兄妹芸人(仮)
扉から上手の袖の中へ。
中に光はなく、急な暗闇に目が慣れない。
「明里ちゃん、頑張ってね!」
暗闇の中でヒソヒソと交わされる言葉。
この声は隣のクラスの文化祭実行委員さんだ。
「うん。ありがとう。」
素直にありがとうと返せる程度には落ち着いているらしい。
「音楽、流します。」
実行委員さんがもつトランシーバーからそんな声が聞こえた。
冷静な頭で、入りからのつながりを復習できてる。
よし、大丈夫だ。
どこぞの漫才番組でよく聞くBGMを背に受けながら、
始めて立つ2人だけの舞台へと駆け出した。