兄妹芸人(仮)
「明里くーん!ご指名デーす!!」
向こうのテーブルから由紀子さんのムカつくじゃなくて…イラっとするじゃなくて……うん。イラっとする声が飛んで来た。
「明里くん大人気だね!お話できてすごく楽しかったよ。」
「僕もとっても楽しかったです!
もっとお話したかったなぁ…」
シュン…
きゃー!!
はぁ、疲れた。
最後はニコッと笑顔で恭しくお辞儀をして次のテーブルへ。
そこには笑顔の由紀子さんと、見知らぬイケメンがいたとさ。
だから由紀子さんの声がイラっとしたんだな。
ミーハー星人と化したんだな。
お前はイケメンなら誰でも良いのか?!
という視線を向ければ、満面の笑顔が返ってきました。
ですよね。
お前はそういうヤツだ。
「おー!
近くでみるとよりイケメンだな!いや、でもやっぱ可愛い!可愛いイケメン!」
「ありがとうございます。
でも、お客さんの方がカッコいいですよ。僕なんて全然…」
「いやいや明里ちゃんは可愛いの!
てか一人称僕とかすげーいい!超かわいい!」
「今は明里ちゃんじゃなくて、明里くんでお願いしますね?
それに、あんまりか、可愛いとか言わないで下さい。恥ずかしいので…」
「シャイとかヤバイって!マジ可愛すぎる!オレ明里くんハマりそう!!」
……なんだこの精神的に負けた感じは!
屈辱だ!!