兄妹芸人(仮)
いやいやでもさ、慎太郎以外とお笑いやるなんて考えたこともねーよ。
てか、慎太郎がやらないならあたしもやんないし?
とりあえず、
「ごめんなさい。」
「えー?!なんで?
一緒にやろうよ!絶対おもしろいよ!」
「いやでも、あた…僕は兄に誘われたからお笑いを始めたので、兄が辞めるといったら辞めるし、まだやると言うのならそれに付き合うつもりです。
他の人とやると言うことは考えていないんですよ。」
まぁ、他に漫才をやる予定を入れる気ないし、あたしももうこれっきりだと思ってる。
他の人とやる気なんて皆無だ。
「そんなぁー…でもさ、それならお兄さんが辞めるって言えば明里ちゃんはフリーでしょ?
その時誘えば、オッケーしてくれる?」
「いや、だから…」
「はいはいちょっといいですかー?」
しつけーなコイツと相手をするのもうんざりして来た頃、急にあたしの後ろ側から腕が伸びて来た。
腕と一緒に聞こえて来た声には、嫌という程聞き覚えがある。
「引き抜きはいかんでしょー先輩。
この子は俺の相方なんで、勝手に誘ってもらっては困りますよー。」
ここ最近で1番長い時間を一緒に過ごしたであろうポンコツの声だ。