兄妹芸人(仮)


「慎太郎…何してんの?」


「え、感動の再会だからさ、ハグ。」



いらねーよそんなもん。


今あたしはさっき後ろから伸びて来た腕にぎゅーっとされているのだが、わけがわからない。




「明里、今はホストなんだからお客さんには優しくしてくれるんでしょ?」


「明里ちゃん。遊びに来たよ。」

「すげー凝ってんなー。一年のくせに。」



なるほど。

そうやってみんなしてあたしを辱めようとしてるわけだな。



「ねぇ明里、接客してよ。」


めんどくせぇな。



「ちょっとお兄さん。
明里くんは今はおれの接客中なんだけどー?邪魔しないでよ。」


「ダメです。明里を無断で口説こうなんて先輩だとしてもお兄さんが許しません。」


「シスコン爆発だな。」


「明里ちゃん、そっちは放っといてコッチでゆっくりお話しようよ。」




自由人率高すぎんだろ。



「明里。グッジョブ!」



ミーハー星人の完全体へとレベルアップした由紀子さんが、鼻周辺を押さえながら親指を立てて来た。


その顔は緩みきっていてちょっとこっち向いて欲しくない。





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