抱いた女と犯した男【完】
「……胃の中で混ざれば一緒ですよ」
「意外と男らしいんだね」
褒め言葉と受け取っていいのだろうか。
垣之内さんは隣で玉ねぎを刻みながら、くつくつと喉の奥を鳴らして笑っている。……よく笑う人だなあ。
不覚にもその雰囲気が心地いいと感じてしまった自分に嫌悪して、眉を顰めた。
「――これ、食えんのかな」
「……」
結局、そうして作ったカレーライスは、……カレーライスになどなるはずもなく。
ルーは溶けないし、じゃがいもの面影はなく、にんじんは硬い。
おまけに、なんということだ。
……お米を研いでいない。
正午から、もう2時間も経ってしまっていた。
狭いキッチンで二人肩を並べ、料理に励んだ結果がこれだ。
どうやら、野菜を切り刻んでルーと煮込めばカレーになる。なんていう私の考えは甘かったらしい。