抱いた女と犯した男【完】



「……胃の中で混ざれば一緒ですよ」


「意外と男らしいんだね」




褒め言葉と受け取っていいのだろうか。


垣之内さんは隣で玉ねぎを刻みながら、くつくつと喉の奥を鳴らして笑っている。……よく笑う人だなあ。



不覚にもその雰囲気が心地いいと感じてしまった自分に嫌悪して、眉を顰めた。










「――これ、食えんのかな」


「……」




結局、そうして作ったカレーライスは、……カレーライスになどなるはずもなく。


ルーは溶けないし、じゃがいもの面影はなく、にんじんは硬い。


おまけに、なんということだ。


……お米を研いでいない。



正午から、もう2時間も経ってしまっていた。


狭いキッチンで二人肩を並べ、料理に励んだ結果がこれだ。



どうやら、野菜を切り刻んでルーと煮込めばカレーになる。なんていう私の考えは甘かったらしい。


< 7 / 17 >

この作品をシェア

pagetop