空蝉の光 -桜花乱舞-
そんなある日。
「はぁあ…」
「大丈夫、桜?疲れてるみたいだけど…」
玄関に座り、溜息をついていると、新が心配そうに顔を覗き込んで来た。
新に相談しても、心配かけるだけだよね…。
「大丈夫だよ。買い物行って来るね」
私は無理矢理笑顔を作ると、家を出た。
「「あ」」
町を歩いていると、今、一番会いたくない彼と会ってしまった。
私は彼から視線を外すと、その場から立ち去ろうとした。