空蝉の光 -桜花乱舞-


「何をしている、一哉」



「父上…」



一哉君は目の前にいる男を『父上』と呼んだ。



つまりは、この男は彼の父親ということだ。



一哉君のお父さんは彼の腕を掴むと、無理矢理馬車に乗せた。



「一哉君…ッ!」



私は彼の名前を呼んだが、彼のお父さんに止められた。



「もう息子には会わないでくれ」



そして、私にお金を握らせると、一哉君のお父さんは馬車に乗り込み、去って行った。






< 194 / 244 >

この作品をシェア

pagetop