空蝉の光 -桜花乱舞-


その事実が更に涙を煽った。



「桜、聞いて」



「何…?」



「俺は父上の言う通りにしていれば良いんだって、ずっと思ってた」



彼の規則正しい心音が耳に届く。



一哉君は明治政府の要人の長男。



将来的には家を継いだり、政府に関係した仕事に就くことなるだろう。



「でも、君と出会って、その考えは変わった…。俺は桜と出会って、本当に良かったと思ってる」



それは私も一緒だ。



一哉君と出会えたから、家族の大切さや好きな人を思う気持ちを知ることが出来た。







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