空蝉の光 -桜花乱舞-
外は薄く茜色に染まっている。
お母さんが怪我したって聞いた時はまだ青空だった。
どれだけの時間が経ったのか、思い立たせられた。
ふと、一哉君が足を止めた。
私もそれに合わせるように足を止める。
「どうしたの?」
「桜ちゃん、いつまで強がってるつもりなの?」
すると、全身を包まれるような感覚に襲われた。
目の前には明治政府の証である紋章がある。
私はようやく、彼に抱きしめられているのだと気付いた。