あなた
『俺こんな風に望んでもらえてたかな?
母ちゃんこんな風に笑ってたかな?
俺が生まれる前はこんな風に笑ってたかな?
もし今日俺が死にたいって言ったら
止めてくれるかな?』
彼の中の不安が爆発したようだった。
「......」
俺はこの問いかけになんて答えたら
いいのか悩んだが、答えは出なかった。
今まで“僕は望まれて生まれたのか?”
なんて考えたことが無かった。
母さんがいるのが当たり前で
家族がいるのが当たり前で
ご飯を作ってくれるのが当たり前で
学校行くことが当たり前で
ゲームしたりするのが当たり前で
怒られたり
クリスマス、誕生日にはプレゼントを貰うのが当たり前で...
実は“当たり前”じゃないという
ことに気づかされた。
彼には
母という存在がいない事が当たり前で
バイトする事が当たり前で
ご飯を作るのも当たり前で
頑張ることが当たり前で
僕と彼との当たり前は違った。