冷たい旦那様
「…あ…ごめ…私……」
「………」
「――――…っ」
涙が一粒流れて、まるでそれが合図だったかのように、私は家を飛び出した。
走って、走って、走って、走って。
真っ暗で、止まらない涙で前が見えなくて、胸が張り裂けそうに痛くて。
どうして怒鳴られたのかも、どうして悠人が怒ってたのかも分からない。
ただがむしゃらに走って、気付けば家の近くの公園に来ていた。
もう辺りは真っ暗で、気味が悪い公園だけど、私は他に行く所がない。ここに居よう……。
フラフラと公園のベンチに座り、月を見上げて涙を流した。
やっぱり、もう駄目なのかな。
やっぱり、気持ちはすれ違い始めていたんだ。
「…うえっ……うえぇぇ~~~ん!!」
静かな夜の公園に、私の泣き声が響き渡った。