冷たい旦那様
「すみません!!すみません!!すみません!!」
土下座されても、ファイルが戻って来る訳じゃない。
俺は腕時計を見て、大きな大きな溜め息を吐いた。
「…もういい。いいから、取引先に電話して情報また教えてもらって来い。俺は新しくファイルを作る」
「……小崎さ…」
「ほら、はやくしろ!」
「はっはい!!」
部下は涙目で、慌てて部屋を出て行った。
パソコンと向き合う。正直言って、無くなったデータを元に戻すのは簡単じゃない。上手く立ち回らなければ、取引先との間に軋轢が生まれてしまうだろう。
けど、やらなければどうしようもない。
時刻は7時。8時には、完全に間に合わない。
「…はぁー…」