冷たい旦那様
“これからも、悠人の傍に居させて下さい”
……そんなの、答えは決まってる。
俺は涙を拭い、枕を寝室に、指輪を右手の薬指に付けて、綾を捜しに外へ出た。
もう2時。辺りはすっかり暗くなり、街灯が無いと足下させもよく見えない。 こんな中、女の綾を一人になんてさせられない。
綾…ごめんな。
八つ当たりしてごめんな。
構ってやれなくてごめんな。
素直じゃなくてごめんな。
不安にさせてごめんな。
まだまだ、思えば思うほど溢れて来る“ごめん”。
俺は自分の誕生日も忘れるくらい、仕事しか頭に無かったんだ。
綾を放ったらかして、寂しい思いをさせて、挙げ句の果てには一方的に怒鳴って。
綾はどれほど傷付いただろう。