冷たい旦那様
どんなに忙しくても、綾なら分かってくれるって……。
いちいち言わなくても、綾なら分かってくれるって……。
勝手に、そう思ってた。
普段滅多に顔を合わさなくて、たまに顔を合わせても俺は仕事の事ばかり考えてる。
そんな俺に、自分の気持ちなんて言えるはずがないのに。
付き合ってた頃から俺に気を遣う綾なら、余計に自分の気持ちを押し殺してしまう。
時々見せる寂しそうな顔も
時々見せる不満そうな顔も
時々見せる怒ってる顔も
全部全部、見ないふりをしていたんだ。
仕事を理由に、逃げて。綾を二の次にしていた。
綾、綾、綾。
一番大切なのは、お前だったのに………。
………静寂に包まれた、家の近くの公園。
ベンチに座る、綾を見付けた。