冷たい旦那様
バタンッという寝室のドアの閉まる音で、ハッと我に返る。
作ったお弁当を手に、慌てて玄関へ向かう。
「はいこれ。お弁当」
「ん」
スーツ姿の悠人が、受け取ったお弁当を鞄に仕舞う。
靴を履いてる悠人に………ゴクリと唾を飲み込み、意を決して口を開いた。
「ね…ねぇ、悠人」
「何?」
「……明日、って…早く帰って来れる?」
「明日?」
ネクタイと襟を整えながら、悠人は考える素振りも無く。
「わかんねー。10時は過ぎる」
「…あ…そっか…」
「…?何で?」
チラリと一瞬だけこちらに目をやって、何でもない、と笑って誤魔化す私にまた鏡へと視線を戻した。