兎の方向⇄
「お、終わりましたぁ……」
疲れた感じで部屋から出てきた兎佐美。
達樹はそれを見て、ポンと頭に手を置く。
「お疲れ……」
フッと笑った達樹は、兎佐美の部屋に入って振り向く。
「…お前はここで待ってろ……」
「え、な、何する気……
バタンッ
兎佐美の言葉を遮り、部屋のドアは閉められた。
「一体何する気なんだろう…先生………」
~30分後~
ガチャッ
「終わったぞ……」
「え…終わったって何が……?」
部屋から出てきた達樹に促され、兎佐美は部屋に入る。
そこで見た兎佐美の部屋は、さっきとは見違える程綺麗になっていた。
床にはほとんど物は置いておらず、キチンと整頓されている。
兎佐美は大きく目を見開き部屋を見渡していた。
「……すっごい……!!」
感嘆した様に兎佐美は呟く。
「普通だろ………それより」
「へっ……!?」
部屋の椅子に勝手に座った達樹は、兎佐美の両頬を挟む様にして自分の顔に近づける。
「服…マジでねぇんだな、お前……」
達樹と兎佐美の距離はほとんど無いのにもかかわらず、兎佐美はキョトンとした表情で達樹の目を真っ直ぐに見つめる。