兎の方向⇄
コーヒー
「頼輝さん、どうぞ……お口に会うかは分かりませんが……」
コーヒーが出来た兎佐美は、座っている頼輝の前にコーヒーを差し出す。
「ありがとうございます」
ニコッと笑いコーヒーを受け取る頼輝。
カップに口を付け、コーヒーを飲む頼輝を兎佐美は不安そうに見つめる。
「どう……ですか…?」
「………美味しいですよ、兎佐美さん」
頼輝は優しそうに微笑み、またカップに口を付ける。
「それは良かったですっ」
嬉しそうに笑う兎佐美を見て、頼輝は小さく「あ…」と声を出す。
「そうでした、兎佐美さん。達樹はいませんか?」
「先生は只今定期検診に出掛けていますが……」
「そうですか……困りましたね………」
「ニャー……」
何かを考え込むような表情を浮かべる頼輝の肩にさっきの猫が飛び乗る。
「あ、さっきの………その猫、頼輝さんの猫ですか?」
「ええ、ハヤテって名前です」
「ニャア……」
ハヤテは兎佐美の足下に行き、体をスリ寄せる。
「可愛いですね♪」
兎佐美はハヤテを抱き抱えながら笑顔で言う。