ARCADIA

定められし出逢い(2)

 あまりの驚きに何の言葉も発することができなかった。
 何とか元いた場所へ戻ろうと足をふんばってみても、目に見えない大きな力に引っ張られてどうにもならない。どんどんキエラと名乗る女の方に吸い寄せられて行く。

 『逆らえない――!』
 訳もわからないまま、由愛は本能でそう思った。
 まぶたを堅く閉じたその時――


 ぱしっ!


 大きな音と共に、急に由愛の体を引っ張っていた強大な力がふっ、と消えた。宙高く浮いていた由愛の体は重力に引かれてバランスを失い、ぐらっと傾く。

 ――落ちる!
 由愛は、次に襲うはずの衝撃を覚悟した。


 が。


 いつまでたっても、痛みは襲ってこなかった。
 痛みの代わりに与えられたのは、誰かのぬくもり。
 温かくて、
 力強くて

 そして

 懐かしい――
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