【短編】意地っ張りなキミに。
意味が分からなかった。
俺と沙羅が別れた――…!?
そんなこと……
あるわけがない。
連絡が取れなくなっているのは事実だが、
俺は勇太以外にその事を話した覚えはまるでなかった。
「姉貴、そんなデマどこから仕入れて来たんだよ」
持っていたシャーペンを乱暴に置き、
俺は姉貴を真っ直ぐに見つめる。
すると、姉貴は大きく目を見開いた。
「デマって……。
だって沙羅ちゃん、大学生くらいの男の人と一緒に歩いてたわよ」
「……え?」
それは、沙羅と連絡が取れなくなって以来、
俺がいちばん恐れていた言葉だった―――。