【短編】意地っ張りなキミに。
1.届かないメール
「歩夢!
おつかれっ!!」
「おぅ、お疲れ」
大学受験まであと5ヶ月となった10月の初旬。
俺、坂田歩夢(サカタアユム)は予備校の教室で、友人たちと声を掛け合っていた。
4月に入って以来、週4で通い勉強に励む日々。
同じ高校の友達はもちろん、
同じ大学を目指すライバルもたくさんいる。
そんな中、始めはD判定で絶望的だった志望大学の合格率も
9月の全国模試ではB判定まで上がり、
やっとの思いで合格圏にたどり着いたところ。
少し前までは、何もかもが順調に進んでいたはずだった。
だけど……今は違う。
最近の俺には……
ひとつだけ、大きな悩みごとがあるんだ……。