【短編】意地っ張りなキミに。
――数分後、到着したマンションの3階。
いちばん端の305号室の下には間違いなく『青井』と書かれていた。
――もうすぐ答えが出てしまう。
一度だけフゥッと息を吐き出して。
緊張しながら、震える指でチャイムを押そうとした。
その時だった。
「歩夢……?」
階段の方から聞こえて来た懐かしい声。
ハッとして振り向いた瞬間、俺の胸がズキッと痛んだ。
なぜなら、そこには……
目を丸くした私服姿の沙羅と、俺より少し背の高い男が……
並んで、立っていたのだから――……。