【短編】意地っ張りなキミに。
「歩夢っ!
どうしてここにっ!?」
驚いた沙羅は、慌てて俺の元へと駆け寄ってくる。
遠くから見ても、顔がひきつっているのが分かる。
会うのは夏休み以来、約3ヶ月ぶり。
なのに、どうしてだろう……?
素直に喜ぶことができない。
この時の俺の目は、近づいてくる沙羅よりも、
その向こうにいる男へと向けられていた。
沙羅――…
誰だよ、ソイツ……。
心の中で、そんなことを考えながら。
だけど、次の瞬間――…
―――バタンッ……
突然、俺の視界から……
沙羅が……
消えた――……。
もうすぐで俺が立っている位置までたどり着く……
そんな矢先の、一瞬の出来事だった。