【短編】意地っ張りなキミに。
ケンカ友達から恋人となった俺たちは、一緒の高校に通い始めた。
相変わらず、意地の張り合いばかりだったけど、
いつも俺の隣には沙羅がいて。
これからもずっと、そんな日々が続くんだって……
そう思っていた。
だけど、現実は違った。
なぜなら、俺たちが付き合い始めた半年後、沙羅の父親の転勤が決まり……
沙羅が……転校することになったから。
あの時の友達の嘘が、
現実のものとなってしまったんだ。
――信じられなかった。
――信じたくなかった。
でも、信じるしかなかった……。
「……寂しくなんかないからな」
引越しの日、最後までそんな強がりを言っていた俺に沙羅は言った。
「大学は絶対こっちに戻ってくるから。
同じところに行こうね!」
それは、珍しいくらい素直になった沙羅と
相変わらずガキみたいに強情な俺が交わした『約束の言葉』だった。