【短編】意地っ張りなキミに。
今までは、メールを送ればすぐに返事が来ていた。
あの時も、模試の結果を見てすごく嬉しくて――…。
いちばんに、沙羅に伝えたかった。
その理由はただひとつ。
――沙羅は、俺よりもずっと頭がいい。
だから、同じ大学を目指すと言っても、
俺には本当に努力が必要だった。
一時期、なかなか成績が上がらない俺を見て、
ランクをひとつ下げようとさえしてくれたほどだ。
でも、俺にだって意地がある。
遠く離れた場所で頑張る沙羅に少しでも追いつきたくて。
毎日来るメールだけを楽しみに、
寝る間も惜しんで勉強して……。
そして、ようやく掴んだB判定だったから。
だから、誰よりも早く沙羅に報告したかった。
なのに……
その日いつまで待っても、沙羅からのメールは
届かなかったんだ――…。