プレシャス
もしも。
もしも修が圭介みたいな人なら
あたしは頼子みたいになれたのかな。
頼子みたいにずっと側にいて
頼子みたいにケンカしても仲直りしても
やっぱり隣にいるのは彼がいい
そう思える恋愛出来たのかな。
なんて…
あたし小さい子みたい。
なんでも欲しがってばっか
修は修でしかない
あたしのために彼が変わってくれるなんてない
そんなの分かってることなのに…
「…ったく、お前らなぁ、独り身の前でいちゃつくなよ」
「大造こそ早くコクれよ」
「そうよ~?英文科の吉野さん、誰かに取られちゃうわよ~?」
「吉っ…て!!圭介っお前、ヨリに何はなしてんだよっ」
「あははっ」
大造をいじってはゲラゲラ笑う楽しげな圭介と頼子。
隣で笑顔を作りながらも、自分とはぜんぜん違う二人に
だんだんと…
惨めな気持ちいっぱいになる。
「あはは、ねぇ志穂もなんか言ってやって?」
「あは…そうだね~」
…二人の前で泣きたくない
みんなに心配かけたくない
そう思いながらもだんだん潤む瞳。
…ダメ
泣きそう
こらえきれず涙が溢れそうになった
そんな時だった