プレシャス
あたし達英文科も忙しいけど
圭介のとこも
“マーケットにおける経営分析”だの
“新規システム導入時における利益率と集客率の分析”だの
レポート作成に追われてる状況で。
ここ1週間、あたしでさえもまともに顔を合わせていない。
「なんかね~?圭介の奴、夜とかもさ~、電話してもすぐ切りたがるんだよ~?」
「…いや、それは疲れてるからでしょ?ちょっと察してやんなよ」
「なに、志穂は圭介の味方?こういう時こそ、配慮って大事じゃない?」
「…いや、それ頼子にも必要なスキルでしょ」
「…つまんな~い、映画行きたい、買い物行きたい、デートした~いっ」
「…もう……ホラ、その本ちょうだい」
ケータイ鳴らしてもなかなか圭介からの返信もなく
いつでもべったりな頼子には大ダメージ。
「も~っ!!やだ~っ!!」
常時一緒にいる分、
こういう時は弱いのかなあ。