プレシャス
まだ頭上に登ったままのお日様。
図書館に差し込む光に頼子のため息が静かに溶けていく。
「ねぇ…志穂ぉ」
「ん?」
「…志穂は会えないって分かってても
どうしても修に会いたいって思うことない?」
それはまるで。
まるで
胸を突き刺す刃物みたい。
何気なく飛び出た頼子からのひと言。
それがひどく…
…痛かった。
「…やだ、あ…たしは…」
「……そっか…志穂は強いなあ…」
ズキンズキンと痛みを伴う胸の鼓動。
情けないくらいの作り笑い
それだけで精一杯のあたし。
「…会いたいなあ」
はぁ…と
吐き出されるため息。
わがままな事ばっかり言ってる頼子なのに
その切なげな横顔が すごく…
きれいに見えた。